ルーターのパッケージや設定画面で「11ac」「11ax」「Wi-Fi 6」といった表記を見かけたことはありませんか?
これはすべてWi-Fiの規格(世代)を表す名前です。規格が違えば、速度も使える周波数帯も変わります。
この記事では、1997年に生まれた初代の無線LAN規格から、2024年に登場した最新のWi-Fi 7まで、
すべてのWi-Fi規格を登場順にまとめました。
「Wi-Fiと無線LANって何が違うの?」「Wi-Fiの
歴史を知りたい」「今使っている規格は古いの?」「Wi-Fi 7って何がすごいの?」――この記事で
まるごとお答えします。
Wi-Fiと無線LANの違いとは?
「Wi-Fi」と「無線LAN」は日常的に同じ意味で使われていますが、厳密には少し違います。
ここを理解しておくと、このあとのWi-Fi規格の話がグッとわかりやすくなります。
無線LANとは
無線LAN(Wireless LAN)は、LANケーブルを使わずに電波でネットワークに接続する技術の総称です。
「LAN」はLocal Area Network(ローカル エリア ネットワーク)の略で、自宅やオフィスなど
限られた範囲にあるパソコンやスマホをつなぐネットワークのこと。
そのLANを、ケーブルではなく電波で構築するのが「無線LAN」です。
Wi-Fiとは
Wi-Fiは、無線LANの中でもWi-Fi Alliance(ワイファイ アライアンス)という業界団体の
相互接続テストに合格した製品だけが名乗れるブランド名です。
つまり、関係性を一言でまとめると:
無線LAN = 電波でつなぐネットワーク全般(大きなくくり)
Wi-Fi = その中で相互接続が保証されたもの(認証ブランド)
出典:Wi-Fi Alliance / IEEE
なぜ「Wi-Fi=無線LAN」と呼ばれるのか
1990年代、無線LAN製品はメーカーごとにバラバラの仕様で、A社のルーターとB社のパソコンが
つながらないことも珍しくありませんでした。
この問題を解決するため、1999年に業界6社が集まりWECA(のちのWi-Fi Alliance)を設立。
相互接続テストに合格した製品だけに「Wi-Fi」のロゴを付ける仕組みを作りました。
その後、市販される無線LAN製品のほぼすべてがWi-Fi認証を取得するようになったため、
いつの間にか「無線LAN=Wi-Fi」という認識が定着したのです。
現在では「Wi-Fiルーター」と「無線LANルーター」は同じ製品を指す
言葉として使われています。どちらの呼び方でも大丈夫です。
Wi-Fi以外の無線通信規格
無線通信には、Wi-Fi以外にもいくつかの規格があります。
それぞれ用途や通信距離が異なるので、混同しないようにしておきましょう。
| 比較項目 | Wi-Fi | Bluetooth | NFC |
|---|---|---|---|
| 管理団体 | Wi-Fi Alliance | Bluetooth SIG | NFC Forum |
| 通信距離 | 数十m〜100m程度 家全体をカバー |
数m〜数十m | 約10cm |
| 最大速度 | 最大46Gbps (Wi-Fi 7理論値) |
最大2Mbps (BLE 5.0) |
最大424kbps |
| 同時接続 | 複数台OK 家族全員+IoT |
基本1対1 (ペアリング) |
1対1 (タッチ接続) |
| 消費電力 | やや大きい | 非常に小さい (BLE) |
極めて小さい (受動動作可) |
| 主な用途 | インターネット接続 動画視聴・Web閲覧 オンライン会議 |
ワイヤレスイヤホン マウス・キーボード スマートウォッチ |
タッチ決済 交通系ICカード データ交換 |
| 接続方法 | SSID選択+ パスワード入力 |
ペアリング設定 | かざすだけ |
出典:Wi-Fi Alliance / Bluetooth SIG / NFC Forum
- Bluetooth:数メートル〜数十メートルの近距離通信。イヤホン・マウス・キーボードなど、
端末と周辺機器を1対1でつなぐのが主な用途です。 - NFC:約10cmの超近距離通信。スマホのタッチ決済(Apple Pay、おサイフケータイなど)に
使われています。
Wi-Fiとの最大の違いは通信距離と同時接続台数です。Wi-Fiは数十メートル〜100メートル程度の
範囲で複数台を同時接続できますが、BluetoothやNFCは近距離・少数台向けに設計されています。
ここからは、Wi-Fiの規格がどのように進化してきたのかを見ていきましょう。
そもそもWi-Fiとは? ── Wi-Fi Allianceの役割
Wi-Fiという言葉は、もはや「無線LAN」と同じ意味で使われていますよね。でも本来は、Wi-Fi Allianceという業界団体の認証テストに合格した製品だけが「Wi-Fi」を名乗ることができます。
無線LANが登場した当初は、同じメーカーの機器同士でしか通信できないケースが頻発していました。IEEEが策定した規格書に曖昧な部分があり、メーカーごとに解釈が異なっていたためです。
この問題を解決するために、1999年にスリーコムやノキアなど6社が集まってWECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)を設立。相互接続テストの仕組みを整え、2000年から認証を開始しました。2002年には団体名をWi-Fi Allianceに改め、ブランド名「Wi-Fi」を正式に導入しています。
つまり、私たちがメーカーを気にせずルーターとスマホをつなげるのは、Wi-Fi Allianceが相互接続性を保証しているおかげなのです。
ひとことメモ: お手持ちの機器のパッケージや仕様書に「Wi-Fi CERTIFIED」のロゴがあれば、他メーカー製品との接続が保証されている証拠です。
Wi-Fi規格の一覧 ── 全世代を一挙まとめ
Wi-Fi規格 スペック比較表
最大速度・周波数帯・主要技術をひと目で比較
| 規格名 | 世代 | 策定年 | 最大速度 | 周波数帯 | 主な技術特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 802.11 | – | 1997 | 2Mbps | 2.4GHz | 初の標準無線LAN規格 |
| 802.11b | – | 1999 | 11Mbps | 2.4GHz | DSSS/低価格化で普及 |
| 802.11a | – | 1999 | 54Mbps | 5GHz | OFDM採用/高速化 |
| 802.11g | – | 2003 | 54Mbps | 2.4GHz | 2.4GHzでOFDM採用 |
| 802.11n | Wi-Fi 4 | 2009 | 600Mbps | 2.45GHz | MIMO/チャンネルボンディング |
| 802.11ac | Wi-Fi 5 | 2013 | 6.9Gbps | 5GHz | MU-MIMO/256QAM |
| 802.11ax | Wi-Fi 6 | 2019 | 9.6Gbps | 2.45GHz | OFDMA/TWT/1024QAM |
| 802.11ax | Wi-Fi 6E | 2021 | 9.6Gbps | 2.456GHz | 6GHz帯追加(トライバンド) |
| 802.11be | Wi-Fi 7 | 2024 | 46Gbps | 2.456GHz | MLO/320MHz幅/4096QAM |
※ 最大速度は理論値です。実際の通信速度は環境・機器により異なります。
※ Wi-Fi 1〜3のナンバリングはWi-Fi Allianceにより未定義です。
出典:IEEE / Wi-Fi Alliance
ここからは、各規格の特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
Wi-Fiの歴史:1997年〜現在
📶 Wi-Fi規格の進化タイムライン
1997年の誕生から最新Wi-Fi 7まで、約28年の歩み
IEEE 802.11
2.4GHz 最大 2Mbps
初の無線LAN規格が誕生。機器は1台数十万円と高価だった
IEEE 802.11b
2.4GHz 最大 11Mbps
低価格化で一般家庭にも普及。Wi-Fiブランドの始まり
IEEE 802.11a
5GHz 最大 54Mbps
5GHz帯を初めて採用。混雑が少ない高速通信を実現
IEEE 802.11g
2.4GHz 最大 54Mbps
2.4GHzでも11aと同じ速度に。Windows XP時代の主力規格
IEEE 802.11n Wi-Fi 4
2.4GHz5GHz 最大 600Mbps
MIMOとチャンネルボンディングで大幅高速化。スマホ普及を支えた
IEEE 802.11ac Wi-Fi 5
5GHz 最大 6.9Gbps
ギガビット超えを達成。MU-MIMOで複数端末と同時通信が可能に
IEEE 802.11ax Wi-Fi 6
2.4GHz5GHz 最大 9.6Gbps
OFDMAで多数の端末を効率的に処理。省電力性も向上
IEEE 802.11ax Wi-Fi 6E
2.4GHz5GHz6GHz 最大 9.6Gbps
6GHz帯を追加。日本では2022年9月に利用認可
IEEE 802.11be Wi-Fi 7
2.4GHz5GHz6GHz 最大 46Gbps
MLOで複数帯域を同時利用。320MHz幅と4096QAMで超高速化
IEEE 802.11(1997年)── すべてはここから始まった
1997年、IEEEによって初の無線LAN標準規格が策定されました。周波数は2.4GHz帯、最大通信速度はわずか2Mbps。当時の無線LANカードは1枚で十万円前後、アクセスポイントも数十万円という時代です。速度的にも価格的にも、一般家庭にはまだまだ縁遠い存在でした。
IEEE 802.11b(1999年)── Wi-Fi普及のきっかけ
1999年に登場した11bは、最大速度が11Mbpsに向上。何より大きかったのは、対応機器の価格が大幅に下がったことです。
たとえばAppleが2000年に発売したAirMacカードは12,800円、ベースステーションは37,800円。現在と比べればまだ高額ですが、数十万円だった時代を考えれば革命的な価格でした。これをきっかけに、Wi-Fiは家庭にも広がり始めます。
IEEE 802.11a(1999年)── 5GHz帯の登場
11bと同じ1999年に策定された11aは、5GHz帯を初めて採用した規格です。最大速度は54Mbps。2.4GHz帯は電子レンジやBluetoothとの干渉が問題になりやすいのですが、5GHz帯はWi-Fi専用に近い環境なので、安定した高速通信ができるようになりました。
IEEE 802.11g(2003年)── 2.4GHzでも高速化
2003年に登場した11gは、2.4GHz帯のまま最大速度を54Mbpsに引き上げた規格です。11bとの後方互換性を保ちながら速度を改善したことで、Windows XP全盛期に幅広く使われました。
IEEE 802.11n / Wi-Fi 4(2009年)── 大幅な速度アップ
11n(Wi-Fi 4)は、最大600Mbpsという飛躍的な速度向上を達成しました。この高速化を支えたのが2つの技術です。
チャンネルボンディングは、通常20MHzの帯域幅を40MHzに束ねて使う技術。道路にたとえると、1車線を2車線に広げるイメージです。これだけで理論速度が約2倍になります。
MIMO(Multiple Input Multiple Output)は、複数のアンテナを使って同時にデータを送受信する技術。アンテナの本数(ストリーム数)が増えるほど速度が上がる仕組みで、最大4ストリーム対応なら600Mbpsを実現できます。
また、11nから2.4GHzと5GHzの両方に対応するデュアルバンドが一般化。2007年に登場したiPhoneをはじめとするスマートフォンの普及と相まって、Wi-Fiの利用が一気に加速しました。
IEEE 802.11ac / Wi-Fi 5(2013年)── ギガビットの壁を突破
Wi-Fi 5(11ac)は、5GHz帯専用の規格で、最大6.9Gbpsという速度を規格上で実現しました。「無線LANは有線より遅い」という常識を覆した世代と言えます。
主な進化ポイントは、帯域幅を最大160MHzまで拡張したことと、MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)の導入です。MU-MIMOによって、ルーターが複数の端末に同時にデータを送れるようになりました。
IEEE 802.11ax / Wi-Fi 6(2019年)── 混雑に強い次世代規格
Wi-Fi 6(11ax)は、速度こそ最大9.6Gbpsと控えめな進化ですが、真の主役は「効率」の向上です。
OFDMA(直交周波数分割多元接続)という技術で、1つのチャンネルを複数のユーザーで分割して同時利用できるようになりました。たとえるなら、1車線の道路を区切って複数の車が同時に走れるようにしたイメージです。
さらに、TWT(Target Wake Time)という省電力技術も導入。IoT機器のバッテリー消費を抑える効果があります。セキュリティ面では、最新のWPA3が採用されました。
Wi-Fi 6E(2021年)── 6GHz帯という新天地
Wi-Fi 6Eの「E」はExtend(拡張)を意味します。技術的にはWi-Fi 6と同じ802.11axですが、大きな違いは6GHz帯が追加されたこと。
これまでの2.4GHzと5GHzに加えて6GHz帯も使えるトライバンド構成になったことで、他の機器との電波干渉が起きにくくなり、特に混雑した環境で効果を発揮します。5GHz帯で問題になる気象レーダーとの干渉(DFS)もないため、通信が途切れにくいのも利点です。
日本では2022年9月に総務省が電波法施行規則を改正し、6GHz帯での無線LAN利用が認可されました。
IEEE 802.11be / Wi-Fi 7(2024年)── 最新・最速の到達点
Wi-Fi 7は、2024年に規格が策定された最新のWi-Fi世代です。正式名称は「IEEE 802.11be Extremely High Throughput(EHT)」。名前のとおり、理論上の最大通信速度は46Gbpsで、Wi-Fi 6の約4.8倍に達します。
Wi-Fi 7 を支える4つの新技術
IEEE 802.11be(Extremely High Throughput)の主要な進化ポイント
320MHz チャンネル幅
利用できる電波の「道幅」が2倍に拡張。一度に運べるデータ量が大幅に増加します。
MLO(マルチリンク操作)
2.4GHz・5GHz・6GHzの複数帯域を同時に使って通信。混雑時でも安定した接続を維持します。
4096QAM 変調方式
1つの信号に乗せるデータ量が増加。同じ電波でも約20%多くの情報を送れます。
16×16 MU-MIMO
同時通信できるストリーム数が2倍に。より多くの端末が同時に高速通信できます。
これらの技術の組み合わせで実現する速度
日本では2023年12月末に総務省が電波法施行規則を改正し、Wi-Fi 7の利用が認可されました。
Wi-Fi 7の主な新技術を簡単にまとめると、次の4つになります。
① 320MHzチャンネル幅: Wi-Fi 6Eの最大160MHzから倍増。一度に送れるデータ量が2倍に。
② MLO(マルチリンク操作): 2.4GHz・5GHz・6GHzの複数帯域を同時に使って通信する技術。Wi-Fi 7認証の必須要件で、帯域の混雑を自動的に回避できます。
③ 4096QAM: 1つの信号に乗せられるデータ量が、Wi-Fi 6の1024QAM比で約20%向上。
④ 16×16 MU-MIMO: 同時通信できるストリーム数がWi-Fi 6の8から16に倍増(ただし認証のオプション要件)。
日本では2023年12月末に総務省が電波法施行規則を改正し、320MHzチャンネル幅の利用が認可されました。対応ルーターやPC・スマートフォンも増えてきています。
Wi-Fi速度の進化をグラフで確認
🚀 Wi-Fi速度の進化
理論上の最大通信速度(Wi-Fi 7 = 46Gbps を100%として表示)
※ すべて理論上の最大通信速度です。実利用速度は環境により大きく異なります。
※ Wi-Fi 7はWi-Fi 6の約4.8倍の理論速度を実現しています。
1997年の2Mbpsから2024年の46Gbpsまで、約28年間で理論速度は約23,000倍にまで向上しました。
Wi-Fi 4以前に「Wi-Fi 1〜3」がない理由
ルーターのスペック表を見ていて「Wi-Fi 4からスタートしているのはなぜ?」と不思議に感じた方もいるかもしれません。
実はWi-Fi Allianceが世代番号(ナンバリング)を導入したのは2018年のこと。IEEE 802.11nをWi-Fi 4、802.11acをWi-Fi 5、802.11axをWi-Fi 6と命名しましたが、それ以前の802.11b/a/gには番号を割り当てませんでした。
Wi-Fi Allianceの公式発表では、ナンバリングの1〜3は未定義とされています。したがって、「Wi-Fi 1」「Wi-Fi 2」「Wi-Fi 3」という正式名称は存在しません。
自分の機器がどのWi-Fi規格に対応しているか調べる方法
「今使っているルーターやパソコンが、どのWi-Fi規格に対応しているの?」と気になりますよね。調べ方はシンプルです。
Windowsの場合は、タスクバーのWi-Fiアイコンを右クリック→「ネットワークとインターネットの設定を開く」→接続中のネットワークの「プロパティ」で、プロトコル(802.11acなど)を確認できます。
スマートフォンの場合は、端末のスペック表や設定画面から対応規格を確認できます。Wi-Fi 6以降に対応していれば、接続時に「Wi-Fi 6」などのアイコンが表示される機種もあります。
ルーターの場合は、本体裏面のラベルやメーカーの仕様ページに対応規格が記載されています。
古い規格のルーターを使い続けていると、せっかくの光回線の速度を活かしきれないこともあります。Wi-Fi 5以前のルーターをお使いの方は、Wi-Fi 6以降への買い替えで体感速度が改善する可能性があります。
まとめ:Wi-Fi規格を知って、快適なネット環境を
Wi-Fiの歴史を振り返ると、わずか28年ほどの間に技術は劇的に進化してきたことがわかります。
ポイントをまとめると、次のとおりです。
・Wi-Fiは「無線LAN」の一種で、Wi-Fi Allianceの認証を受けた製品のブランド名。現在はほぼ同じ意味で使われている
・Wi-Fiは1997年のIEEE 802.11から始まり、現在はWi-Fi 7(802.11be)が最新規格
・Wi-Fi Allianceの認証によって、メーカーが違っても相互接続できる仕組みが実現
・Wi-Fi 6ではOFDMAによる効率化、Wi-Fi 6Eでは6GHz帯の追加が大きな進化
・Wi-Fi 7はMLO・320MHz幅・4096QAMなどで理論最大46Gbpsを達成
・Wi-Fi 1〜3は公式には未定義。ナンバリングはWi-Fi 4(11n)から
Wi-Fiルーターの性能を最大限に活かすためには、元となる光回線の速度も重要です。
Wi-Fi 7時代の高速通信を
お手頃な光回線ではじめよう
どんなにWi-Fiルーターが速くても、元の回線が遅ければ意味がありません
- NTT光コラボ回線だから全国エリア対応・回線品質も安心
- 契約の縛りなし(最低利用期間・違約金なし)
- v6プラス対応で混雑時間帯も快適な速度
- 月額料金がシンプルでわかりやすい
※ 当サイトはenひかりのアフィリエイトプログラムに参加しています
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、Wi-Fiの規格を理解するお役に立てれば嬉しいです。

